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司令船機内
渡辺とジュンは打上げ前の最終チェックを終了させた。
管制司令室でフライトダイレクターによる最終確認が始まった。
「EECOM」 「GOです」
「ナビゲーション」 「GOです」
「テレメトリー」 「全パラメータ問題無し、GO」
「コントロール」 「GOです」
「通信」 「GOです」
「気象」 「GOです」
「CAPCOM」 「GOです」健一が答えるのが聴こえた。
「そして、パイロット」
渡辺がジュンを見た。ジュンは親指を上げてOKを合図した。
「渡辺、川崎とも準備完了、GOです」
渡辺が船長として答えた。
管制指令室からの声が続く。
「フライトダイレクターだ。オールシステムはGOだ。それではカウントダウンを再開する。Tマイナス120セカンド」
カウントダウンが再開された。電子音声でカウントダウンが流れ始める。
「オートマチックカウントダウン シーケンス開始」
「H3―24L、自立制御に移行」
「Tマイナス60セカンド」
「ステージI、準備完了」
「ステージⅡ、準備完了」
「Tマイナス30セカンド」
「全自動システム準備完了」
「行くぞ、H3―24L、フェニックス、Go For Launch!!」
フライトダイレクターの声が管制室に響くと管制室から大きな歓声が上がるのが司令船でも聴こえる。
「Tマイナス13セカンド、エンジン始動シーケンス」
「10」
「フライトモードON」
「8、7」
「メインエンジンスタート」
ジュンの耳に司令船の後方より大きな爆音が始まったのが聞こえる。
「3、2、1」
「SRB点火リフトオフ」
その瞬間、ジュンの身体に大きな重力加速度が襲って来た。そしてH3―24Lがゆっくり発射台を離れていく。
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