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「夏姫、お昼どうする。お弁当、それともカフェテリアに行く?」
午前の講義が終わった後、夏姫が背伸びをしていると優子が尋ねて来た。
「次の授業は二時からだから、カフェテリアでゆっくりしようか?」
夏姫が優子を見てそう言うと、優子は満面の笑みで頷いていた。
この大学のカフェテリアはバイキング方式の昼食を提供していて、八百円で三十五品目の食材を食べ放題なのが売りだ。
夏姫はサラダとホワイトパスタ、サーモンとチキンを少しだけお皿に載せて、ドリンクバーからアイスウーロン茶をコップに注いで、空いているテーブルに着席した。
優子も夏姫に続いてテーブルに着いた。
「お昼からそんなに食べるの?」
夏姫は優子の運んで来たお皿の数を見て目を丸くした。
お肉に、魚、チキンにカニ、大盛りのサラダ、そしてケーキ二つを目の前にして優子が嬉しそうに言った。
「今日は朝食抜きだから、これでも少ないくらいだよ」
夏姫は呆れた様に首を振ったが、優子は早速食べるぞと言いながらお肉にナイフを入れている。
その時、テーブルの上に置いた優子の携帯が鳴った。
「あっ、ゴメン。達也からだ・・。ちょっと出て来るね」
優子はそう言うと席を立って、携帯を耳に当てながら走ってカフェテリアの外に出て行った。達也と言うのは優子の恋人だ。
独り者の夏姫は、はいはい幸せだね・・と思いながら、ゆっくりサラダを食べていた。
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