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夏姫は、突然、優子の席に誰かが座る気配を感じて顔を上げた。
「えっと? 貴方は?」
そこには知らない男の子が座って夏姫を見ていた。
大学では見掛けた事の無い顔だった。
(綺麗な顔だな・・)と夏姫は美男子の類に入る男の子を暫し見つめていたが、思い出した様に首を振って彼に問い掛けた。
「そこは私の連れの席ですけど、貴方は誰ですか?」
その男性はニッコリと微笑んだ。
「俺は川崎順一、ジュンと呼んでくれ。君は高橋夏姫さんだよね? 何と呼べばいいかな?」
「えっ? 何で私の名前を・・?」
ジュンと名乗った男の子は意地悪そうに口の端を上げている。
「それに何で初対面の人をファーストネームで呼ばなければいけないんですか?」
ジュンはフーンと言ってこう応えた。
「アメリカではファーストネームで呼ぶのは普通だけど、日本では違ったか・・ まあいい。これから恋人同士になるんだから、お互いファーストネームで呼び合うのは当たり前だと思うけど・・。ナツって呼べばいい?」
「ちょっと! 何で突然私達が恋人になるの? 意味が分からない・・」
そう夏姫が言うと突然ジュンが立ち上がった。ビックリして夏姫は彼を見つめた。彼はスラリとした長身で、多分百八十五センチは有るだろう、肩幅も広く男らしい体形をしていた。
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