第1章 ジュンとの出会い

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第1章 ジュンとの出会い

私は、五、六歳の男の子と並んで手を繋いでいた。二人で遠くに見えるスペースシャトルの発射台を見ている。 発射台を見渡す事の出来る人工的な展望台の上は、多くの人で埋め尽くされていて、物凄い歓声が上がっている。真正面の電光掲示板にカウントダウンが走っている。 「Colombia! Go For Launch!!」 (コロンビア打上げに移行!) 外部のスピーカから管制室の声が聞こえる。 全員が更に激しい歓声を上げた。 カウントダウンは最終段階に進んでいた。 展望台の全員が声を合わせている。 「Five, Four, Three, Two, One, Go!!」 その瞬間、遠くに見える発射台のスペースシャトルの尾部から激しい煙が吹き出して、シャトルは発射台を離れた。 手を繋いだ男の子が私の横で大声で叫んでいる。 「Go Colombia!! Go Natsu’s Dad!!」 (行けコロンビア!行けナツのパパ!) スペースシャトルは綺麗な雲の糸を引いて真っ直ぐに上昇していく。 男の子が振り向いて私に満面の笑みを浮かべた・・ 「Natsu, that was successful Launch! Congratulation!!」 (ナツ、打上げ成功だ! やったね!) 「Thank you, Jun. I’m very glad!!」 (ありがとうジュン、嬉しいわ) 私は笑顔で頷いた。
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