発覚、犯人は八角さん。

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発覚、犯人は八角さん。

目の前で男が胸をひとつきにされ、死んでいる。 中年男性。 背広を着ている。 立派なものだ。 何かの役職にはついていそうだ。 推察だが息が臭そうである。 突き出た腹から脂っこいものと酒が好きそうだと想像した。 もう一人やせこけた顔の男も倒れている。 様子を見るに薬中のようだ。 こっちは気絶している。 私は、状況を整理すべく自身の手を見た。 血で濡れてはない。 けれど、私が犯人ではない証拠がない。 何しろ、私は異常なまでの殺人欲求があるのだ。 ミステリの読みすぎなのかわからないが、完ぺきな犯罪をいつも探している。 ミステリ小説を読んでいても、いつも半分もいかぬうちに気づいてしまう。 映画やドラマでもオチまで見れた試しがない。 手は濡れてない。 しかし、手袋をしている。 思い出した、私はいつも外出しているときは手袋をするのだった。 コートも着ている。 部屋は密室ではない。 ここは二階。 扉は空いている。 私はいつも死のにおいを嗅ぎつけてしまう。 そして、決まってここにたどり着くまでの記憶を失っているのだった。
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