0人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に戻ろうと3階の共用通路を歩いていると向かいのアパートから人が出てきた。さっきのゴミ置き場からはジャージ姿の少年が走り去っていく。向かいのアパートの住人の手にはゴミ袋があったが、その人物は葉山が住むマンションのゴミ置き場にゴミ袋を置いていった。
「なんだあいつ」
そう思ったが自分が困るわけではないので無視して部屋に戻り眠りについた。
葉山が寝ているとなにやら外が騒がしい。玄関から通路に出てみると消防車が数台マンションの前に止まっていた。
部屋に戻りベランダに出て周りを見ると煙が下の階から上がっていた。火の手はエントランス側の方らしく、葉山のの部屋は反対側の角部屋だった。幸いそこには非常階段があったので葉山はこの非常時にも関わらずタバコに火をつけ、くわえタバコで余裕をもって避難することが出来た。
階段を下りる際には消防官とすれ違った。特に問題なく下まで降りてこれたが近所の野次馬が怪訝な顔でマンションを見上げる。
野次馬の中には近所の人も数人おりその会話が聞こえてきた。
「どうやらゴミ置き場から火が出たらしいわよ」
葉山は自分が吸っているタバコを見て慌てて火を消した。そして何食わぬ顔で近所の人に話しかける。
「原因とかはわかってるんですかね?」
「さぁ、でも、出火原因ってあとで調べたらわかるらしいからね」
マンションの三分の一は火が回っているようだった。葉山は唾を飲み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!