火の元にご用心。

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火の元にご用心。

 葉山太郎(41)は独身のサラリーマンである。仕事を徹夜して終わらせ自宅に帰ったのは午前6時前だ。 テレビを点けると連続放火のニュースをやっていた。ここ最近、近所で7件連続の放火が発生しているらしい。  シャワーを浴びてから缶ビールを開け、タバコに火を点けた葉山。ライターに書いてある文字をじっと見た。ホテルアイランド。 「だっさ。これどこのホテルよ」  そう言ってライターをゴミ箱に放り込んだ。カレンダーには燃えるゴミの日マーク。このまま寝てしまうと次回まで部屋にゴミを置いておくことになる。仕方なさそうに葉山は部屋のゴミをかき集め、ごみ袋の口を縛ろうとしたが、一度開けてテーブルの上にある灰皿に溜まった吸い殻を放り込んでからゴミ袋の口を結んでゴミ置き場に持って出た。  このマンションは道路に建物が平行して建っており通路が道路側にある。道路から向かって右側にエントランスがありその横がゴミ置き場になっている。 葉山はゴミを出して咥えていたタバコを地面に捨て足で火を消しそのままマンションへ戻った。     
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