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反抗期?
「毎度ありがとうございます。またのご相談、お待ちしております。」
ここは、相談所・・・ではなく。
占い館。
二世帯住宅の二階では、ちょっとした乱闘が起こっていた。
「だ・か・ら!継がないって言ってるでしょ!」
「千夏、うちにはあなたしかいないの!頭から決めつけないで。」
「私には未来だって過去だって見えないもの!」
「客引きくらいならできるでしょ?」
「ほら!結局はそれが目当てなんでしょ?私はパンダじゃない!」
そう叫んで、リュックサックをつかむ。
一気に階段を駆け下りると、そのまま駅に向かった。
「千夏!待ちなさい!」
母さんの声なんか聞こえないふりをして。
私の家は、大正時代から続く占い師一族。
うちの家系は、皆未来や過去が見える。
私以外は。
父さんは私が五歳のころに外国に単身赴任したきり。
母さんは、私を一人で育ててくれた。
だけど、私をとことん客引きに使った。
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