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社会っていうのは醜い。
それをたった七歳で知ってしまうことになるとは、生まれたばかりの時は知らなかっただろう。
絶対に大人になんかなりたくないと思った。
なるとしたら、自由奔放な、そう、叔母さんみたいな自由人に。
電車に揺られて、二時間ちょっと。
気が付くと、京都府京都市に着いていた。
「千夏ちゃん、いらっしゃい。」
「叔母さん~っ!」
私は叔母さんに抱き着くようにして、家の中に入った。
近代風の家の中からは、なぜか懐かしい香りがした。
「まだたったの十三歳なのに、家出なんかしちゃって。」
「いいじゃん。叔母さんだって、同じくらいの年でおんなじことしたでしょ?」
「・・・許す。」
母さんの実の妹である叔母さん。
双子なのに、まったくと言っていいほど違う。
美人で聡明なおばさんに対して、可愛い系で家庭的な母さん。
母さんはロマンチックだって言ってた占いを、叔母さんは嫌っていた。
「夕飯、私が作るよ。」
「あら、疲れてるでしょ?」
「叔母さん、コンビニ弁当ばっかでしょ。」
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