可愛い彼女、みつけてね

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可愛い彼女、みつけてね

 食事の支度はできた。日向千里(ひむかい せんり)は点検するように、こたつに並べた料理を見まわした。  今夜のメインディッシュはイギリス風コテージパイだ。昨日から煮込んだ挽肉入りのトマトソースの上に、マッシュポテトとチーズを載せてオーブンで焼いた。付け合わせは温野菜。鮮やかなパプリカとカボチャ、ヤングコーン、蒸した白菜。隼人の好きなサウザンアイランドのドレッシングを添える。年下の彼氏、峯岡隼人は、甘いドレッシングが好きな子供舌の持ち主だ。  しかし、隼人は約束の時間になってもまだ現れない。マンションのチャイムも、携帯の着信音も鳴らない。料理はゆっくりと冷えていく。 『ご飯の準備できたよ』  メッセージを打つ。五分、十分たっても返事はない。既読もつかない。その間、千里は意味もなく冷蔵庫を開けたり閉めたり、コップの位置をなおしたりする。重たい女だと思われたくないから、直接電話はしない。 『いつでも待ってるからね』  二つ目のメッセージを送る。怖くないようにその下には笑顔のスタンプをつける。シンクのへりにもたれかかってため息をついた。  仕事でお互い忙しいから、せめて休日は一緒に過ごそうといいだしたのは隼人のほうだったのに。  隼人の出身高校のサッカー部が、都大会のベストフォーまで残ったらしい。昔のチームメイトからメールが届いたとたん、週末は学生時代の仲間と観戦に行くといいだした。 「いいよ。せっかくだから行ってきなよ」  千里は理解のある彼女を演じた。 「奥さんや彼女連れてくる奴もいるし、千里さんも一緒にどう?」  隼人は無邪気に誘ってきた。 「ううん。私はいいや」
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