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頃合いを見て、再びメッセージ機能を使って連絡を取ります。
「先輩、とりあえず霊柩車に一緒に乗っています。何かわかりましたか?」
「書類見てもわからないんだ。すまない」
時間も限られて来ました。このままではまずい。と、ここであることを思いつきました。
「そうだ! 蓮さんに聞いてみてくれない?」
「蓮さんか、わかった。聞いてみる」
まさに「神頼み」いちるの望みを託し、タエさんと火葬場に着きました。
火葬場に到着し、ご遺体が焼かれるのを、参列者が見送っています。炉の扉が閉められ、いよいよタエさんの身体は骨だけになろうとしています。
「わしは本当に死んだんだね」
「はい。しかしご安心下さい。私が天界までご案内します。旦那様がお待ちになられているはずです」
こう言いつつも心は不安です。参列者は会食のお時間。メッセージはまだありません。まだ時間を稼ぐ必要があります。私は正一さんのことを聞いてみることにみました。
「お伺いしたいのですが、旦那様はどんな方だったのですか?」
「そうさね……、とにかく自由な人だったよ。若い時にはオート三輪(※)乗り回してね。一緒にドライブして、色々なところに連れて行ってくれたよ」
「遊び人な感じだったんですか?」
「まあねえ。けれど仕事は一生懸命だったよ。民宿をやってたんだけどね、泊まりに来た人の世話もよくしてたから、みんなに好かれてたんだよ」
「素敵な方だったんですね」
「ああ、だけどね、この辺の民宿の組合長までしてたんだけど、集まりがあってもね、つまらないからって抜けて途中で帰って来るとか、少し変わってたけどね」
「ちょっとおもしろい方ですね」
「そうさね。でもね、亡くなる時もね。愛してるって言ってくれたんだよ……」
50年連れ添った最後に「愛してる」ってステキだなと思いました。
その時、ようやく先輩からメッセージが届いたのですが……
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