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そう、割烹澤本はこの塩で盛り塩をした為に呪われ客の往来が途絶えたと言う訳であった。
ただ、と平井は思った。
『澤本も馬鹿では無い。盛り塩を盛り始めてから客足が遠退いた事に気付くはずや。まあ、それまでの期間だけでも良い気味や、ハハハ、ざまあみやがれ!』
しかし平井は小首を傾げて呟いた。
「最近、ウチの店も客足が遠退きだしたな、まあ気のせいやろ」
◆
近頃、割烹平井の店先で時々人目を避ける様に盛り塩を盛り直す1人の男がいた。
澤本の弟子の上原であった。
澤本の指示に従い、平井に贈られた塩を使い盛り塩を盛り直していたのである。
そう澤本は洗い浚い客足が遠退いた原因を調べ、盛り塩に辿り着き、ネットで都市伝説の噂話を当たった所、件の盛り塩で使用される塩の噂話に行き当たったと言う訳であった。
さぁ、平井は入れ替えられた盛り塩に気付く日が来るのであろうか?
それは誰にも分からない。
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