5/10
前へ
/10ページ
次へ
                   ◆ そんなある日の事であった。 平井は休日、暇潰しにネットでホームページの情報のリンクを辿り適当にページを繋いで行っていた時の事であった。 とあるオカルト系の掲示板に辿り着いた平井。 そこで少し引っ掛かる、とある噂話に遭遇したのであった。 それはこんな噂話であった。 『盛り塩で使用する塩を専門に扱う業者があるらしい。どうもその塩、値段は相当張るが普通の塩では無いらしく、怨みに思う相手がいる人間などには、お誂え向きの塩らしい。そしてその盛り塩で使う塩の製造方法は・・・』 噂話は続き、その製造方法に平井は目を疑った。 そうこの業者の作製する盛り塩の為の塩の製造方法は尋常ではなかった為である、と同時に平井は猜疑の念を抱いた。 「こんな塩、現実に販売しているはずが無い、これは所謂、都市伝説だ」 だが、その時平井の脳裏に澤本の顔がチラリと浮かんだのである。 そしてふと、思った。 『この塩で盛った盛り塩さえあれば、あいつの店を・・・・』 平井は噂話の文末に記されていた業者のメールアドレスへ疑心暗鬼ながらも連絡を取ったのであった。 それから2日後、業者から折り返しのメールが届いた。 メールの文面は盛り塩の値段と支払方法が記載されたシンプルなもので、その値段に平井は面食らった。 盛り塩 100g 20万円。 普通の食卓塩ならば100gで安いものなら2~300円で手に入るはずだ。 平井はそれでも噂話が本当ならば業者が示した製造方法の価値に見合う値段かも知れぬと思いながらも「盛り塩を購入する前に一度製造方法が本当なのか自分の目で確認したい」との旨を記した問い合わせメールを先方に送った。 すると先方からの返信には製造方法は見せる事が出来ないとの旨が記載されていた。 それは当然だろうと、平井は思った。そう、その製造方法が余りに常識から離れていた為だ。だが、平井はあくまで自分の目で製造方法を見る事に異常に固執した。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加