チョコよりも甘い世界を、

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「期待した俺が馬鹿でした」 「・・・え? 私が菓子業界の策略にまんまと嵌められることを期待して・・・」 「俺が悪かったよ」  俺が諦めと降参の白旗を上げると、彼女は首を傾げつつココアを啜った。 「期待してたんだね」 「もう許してくれない?」 「? 別に怒ってないよ?」 「知ってる」  天然と言うか鈍感と言うか特殊と言うか、そう言うとこも好きなんだけども!  けっこ―落ち込む。  まあ、俺も男だからね。それなりに期待はしてたんだよ。 「・・・落ち込んでる?」 「わかるんだ」 「なんで?」 「そこはわからないんだ」 「・・・推理してみる」 「永遠にわからなくていいよ」  ちょっとした推理小説マニアらしい彼女は推理とやらを熱心に展開し始めた。 「女性が男性に好意を伝える日ってことは、貴方は多分私が好意を伝えることを期待してた」 「声に出すの?」 「だけど、バレンタインにはチョコレートを渡すと言うルールがある」 「ねえ、できれば沈思黙考でお願いできない?」 「それは菓子業界の策略だから、私はそれにはまりたくない」 「独り言にしてはボリュームデカすぎるよ」 「だけど貴方は私にバレンタインしてほしい」 「これは何? 羞恥プレイかな?」 「んー、悩ましいね」 「恥ずかしいよ俺は」  特殊と言うよりはただの無神経かもしれない。と思い始める。  それとも狙ってやってるんだろうか?  天然とどっちがタチ悪いかな。
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