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「ブライダルチェック?」
聞き慣れない単語に首を傾げる春一。
すると鈴音は、
「ええ、妊娠や出産に影響を与える病気を持っていないか調べる検査です。透子からも受けた方が安心できるって勧められて」
千影透子とは、鈴音の北海道時代からの親友だ。
今もまめに連絡を取り合っている様子で、透子の元の職業はブライダルプランナーなので、鈴音にいろいろアドバイスをくれるらしい。
「前に、冬依くんの風疹騒ぎがありましたよね。その時から、やっぱり心配だったんです。だから結婚の前に、そういうの、ちゃんとしておきたいなって」
「……鈴音」
思わず口ごもる春一に、
「はい何ですか、春さん」
鈴音は屈託なく返してくる。
その無邪気な唇から、
「……結婚、って」
その単語がスルリと出てきて、春一は感激していた。
あんなに心配していたのに、鈴音はちゃんと春一の気持ちを受け取めてくれている。
春一の想いは、きちんと鈴音に伝わっていた。
夏樹が、
「知らないうちに鈴音が心変わりしてるってこともあるしな」
なんてニヤニヤ笑ったが、今こそ、
「ザマーミロ、鈴音にそんなわけあるもんか!」
と言い返してやりたくなる。
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