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びっくりしたのか、鈴音は黙っている。
というか、果たしてこれで、プロポーズになったのだろうか。
「あれ?」
ずっと言わなきゃと思い詰めていたせいで、なんだか変なタイミングで言ってしまった。
鈴音は困ったように首を傾げて、
「なんで結婚しないなんて思ったんですか?」
逆に聞いてくる。
「ずっと私は、春さんと結婚するつもりでしたよ」
困惑した顔をしているが、面と向かって返事をもらえると、やっぱり嬉しくなる。
春一はホッと胸をなで下ろして、
「ちゃんと鈴音に言ってなかったんじゃないかって、ちょっと心配になったんだ」
夏樹に忠告されたからだとは言わない。
完璧なプロポーズをするはずが、なんだか妙な感じになってしまったし。
まあそうは言っても、予定では、
「俺と結婚してください」
とストレートに言うつもりだったから、言葉的にはそんなに違ってはない。
……間違っていないはずだ。
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