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だから干渉されるのが嫌いな夏樹が嫌がる理由もわかるような気がして、
「うん、夏樹はそういうの苦手そうだよね」
同意してやると、
「はっ、後で泣いたってしらねーぞ鈴音」
夏樹は不気味な言葉を言い捨てる。
それから、鈴音の耳に口を寄せ、小声で、
「あいつ、春にばっか嫌がらせするからな」
「え?」
「腹たてんじゃねーぞ」
詳しいことを聞く前に、
「もう一回寝とく。帰ったら起こしてくれ」
そう言って、自分の部屋に引き上げてしまった。
一体、伯母さんとはどういう人なのか。
訪ねてくるのは、何があるというのだろう。
鈴音は、
「あの、何を理由にいらっしゃるんでしょうか」
恐る恐る尋ねる。
「もしかして、結婚に反対されそうなんですか?」
すると春一はふんわり笑って、
「まさか」
鈴音の頭をポンポンと叩く。
「俺の親が賛成してくれてるんだ。伯母さんが反対するなんてあり得ないよ」
それでも不安がぬぐえない鈴音に春一はちょっと困ったように眉をしかめて、
「それに反対されたって、鈴音のことだけは譲れないから」
「……春さん」
「行こう。予約の時間に遅れる」
「はい!」
ふたりで家を出た。
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