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そして、
「わかりました」
と鈴音が切り出してきた話は、
「……病院で検査!?」
「ええ、一度ちゃんと婦人科の検診に行った方がいいかなって」
「婦人科の検診って、えっと、そのそれは……」
春一には縁のない科なので、かなりオロオロして、鈴音のお腹のあたりをチラチラ見てしまう。
それから尋ねた。
「……できた、の?」
すると鈴音は、
「え!」
と言って、一気に赤面した。
「いえっ、違うんです春さん。私、妊娠はしていません!」
――妊娠していない――
「……そうか」
ものすごくきっぱりと否定されて、
「違うのか……」
春一は目一杯がっかりしてしまう。
そりゃあ出来るだけ気をつけてはいたけれど、それでも可能性がないわけではない。
もしそうなら、これほど喜ばしいニュースはないはずだった。
だけど、
……妊娠はしていない……
目に見えて落ち込む春一に、鈴音は慌てた様子で、
「えっと違うんです。いえ違うっていうか違わないっていうか。えっと私、少し前から考えていたことがあって……」
両手をパタパタと振りながら言う。
「ブライダルチェックを受けてみようかなって」
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