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1 プロポーズ
ところが、
「鈴音、話があるんだ」
「春さん、話があるんです」
春一が切り出した言葉に鈴音の声がかぶる。
「え?」
「え?」
ふたりで顔を見合わせて、
「あ、じゃあ鈴音から」
「いえいえ、春さんから」
などという長閑なやり取りをかわして、
「いいよ。鈴音の話をちゃんと聞きたいんだ」
最後は春一が強引に押し切った。
もしかして鈴音の話が、春一との別れ話だったりしたら、プロポーズどころの話じゃなくなる。
春一は鈴音のことになると、いつも不安でたまらない。
春一は自分に自信なんか、これっぽっちもないのだ。
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