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どうしても、あいつに、紘子に会いたい。
その気持ちが、強すぎたのか俺は、信号が赤に変わる瞬間に気づいてなかった。
けれど、それと同時にもうスピードで、曲がってきた車がいた。
「あっ!」
そう思ったときには、おれは、車に引かれていた。自転車から、とび、じめんに叩きつけられる。
「・・・・・・ひ・・・ろこ・・・・」
おれは、薄れ行く意識のなか、あるものを握りしめていた。
彼女に、贈ろうとしていた、ブレスレットだ。
「・・・・・・・」
「大変だー!!人が、ひかれた!」
「救急車!救急車!」
俺、死ぬのかな。
紘子に、気持ち伝えないまま、死ぬのかな・・・・・
そんなことを、思い、目を開けてみる。
あれ?死んでない?
{そこの、少年}
「えっ?少年って俺のこと?」
{そなたしか、ここにはいないぞ?}
「えっ?あなたは?」
{わたしは、神じゃ}
「えっ?神?えっ?なんで?俺、死んだのか?うそだろ?」
{落ち着け!}
「落ち着けないよ!俺まだ死ねないんだ。紘子に、告白しなきゃならないし、まだ、芝居の本番が・・・
あっ!これは夢!夢ですよね?そうですよね!」
俺、涼は、神様がなにかを言おうとしているのに、一人で勝手に納得しようとしていた。
{お主は、いま、瀕死の状態だ}
えっ?
俺は、耳を疑った。
{おまえが、死ぬのは、嘘じゃない。}
「嘘じゃない?」
{落ち着いてわしの話を聞くのじゃ}
「落ち着いてられません!死んだって聞いて落ち着く人間なんて・・・・・」
{おまえは、やがて死ぬ運命にある。だが、それは、今じゃないんだ}
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