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2. 台座
気がついた時から、血を飲み、肉を喰らっていた。
鉄の混じった血の匂いを嗅ぐと腹が鳴り、心が疼いた。必死に嘴の付いた顔を、羽と鉤爪の付いた手足を前に出し、少しでも餌にありつこうともがいた。
けれども、自分の先には常に2つの壁があった。
兄と姉。自分よりも時に早く、力に強く、頭に賢く生まれた「先を行く者」たち。
たったそれだけ、が大きい。決定的。たったそれだけで、父母が運んでくる食事の取り分が減った。
さすがに兄や姉に殺されるまで、虐げられることはないが、彼らの残してくれる餌の量は、いつもごくわずかだった。
自然は平等かつ残酷だ。力のある者が生き残る。ルールはそれだけ。
自分は確実にその反対側の、生き残らない方の運命を、歩んでいた。
ユキハヤブサのつがいの3番目の子供として、この洞窟の中で生を受けた。
外の世界は明るくて、寒かった。自分が最初にできた事は2つ。口を開ける事と、鳴くことだけ。
それだけをして、懸命に生きていた。
硬い殻を突き破った瞬間から、兄と姉が隣にいる。それが運命と思っていた。苦痛があっても、それを仲間のせいと考えることは、だいぶ前に止めていた。
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