プロローグ

2/3
前へ
/195ページ
次へ
「私を置いて逝かないでよ。相馬!」 顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いた。 私の彼氏が交通事故に巻き込まれて、亡くなった。 冷たくなった体。 変わらない表情。 もう。相馬は戻ってこない。 「相馬。どうして…」 柩に入れられた相馬に問いかける。 「結衣ちゃん。来てくれてありがとう。」 真っ赤に目を晴らした相馬のお母さん。 私は何も答えることができなかった。 世界の色が全部。消えてしまった。 耳の奥で相馬の声が何度も再生される。 「結衣。大好きだよ。」 と、何度も何度も思い出される。 遺影に使われた写真の相馬はとびっきりの笑顔で笑っていた。 もう2度と、共に笑い合うことはできない。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加