5-10.死神が支配する赤

4/4
前へ
/86ページ
次へ
 ずっしりと返り血を吸ったローブが重い。裾からぽたぽた赤い雫を落としながら、血に染まった髪をかきあげた。髪も肌も、全身に生臭さが付き纏う。吸い込んだ空気まで血の味をしている気がした。  ウィリアムの戦い方に慣れている近衛でさえ、吐き気を堪える者がいる。それほどの惨劇を繰り広げた廊下は、元の赤い絨毯がどす黒く変色していた。守り抜いた扉は元の白が見えない。 「扉を開け」  命じた先で、重々しく扉が開かれた。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加