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促されて、扉に寄りかかるウィリアムの左側へ崩れるように座った。紺色のズボンに血が染み込んでいく。血に濡れて張り付くローブを外して、震えるウィリアムの肩にそっとかけた。
「……エリ……陛下?」
名を呼びかけて、途中で近衛兵の存在に気付いて呼びなおす。ウィリアムの青紫の瞳は熱で潤み、色がくすんだようにぼんやりしていた。普段の強さが嘘みたいに、弱弱しく見える。
エリヤをウィリアムとの間に挟む形で保護しながら、エイデンは兵達に指示を出した。
「酒を持ってきて、出来るだけ強いやつ。あと私のバッグが控え室にあるからそれも。落ちてる短剣拾ってこっちへ」
矢継ぎ早の命令に、兵達が慌てて動き出す。残された数人が、国王と執政を守る円を描いて背を向けた。外敵に対処できるよう剣を抜いている。同時に彼らは被っていた兜を脱いだ。
先ほど執政に襲いかかった兵は、自軍の鎧を纏っていた。つまり鎧や兜で中の人間が見えない状態で、敵が潜り込んでいる。倒した相手の鎧を奪ってひそんでいたら、後ろから攻撃されるかも知れないのだ。
疑い深くなった状態で同士討ちをする可能性がある以上、兜は身を守る道具ではなくなっていた。何度も教えてきた話を覚えていたことに、ウィリアムがほっと息をつく。この状態で声を張り上げて警告するのは辛いのだ。
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