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5-2.とろとろに甘やかしたくて
カーテンが遮る朝日を感じながら、寝不足の目元を押さえた。ベッドで眠るエリヤの呼吸は落ち着いており、その顔色も問題なさそうだ。
国王命令で添い寝をしたため、夕方からそっと起きて書類を処理した。たいていの書類は翌日でも構わないが、一部急ぎの書類があったことを思い出したのだ。
執政の代理署名と押印で切り抜けた書類を文官に引継ぎ、残った書類の山は寝室へ運び込んだ。エリヤが目覚めた時に見える位置にいたかったし、具合の悪い恋人を1人にするのは不安だ。
眠るエリヤはいつの間にか、枕を抱き締めている。可愛い仕草だと思う反面、可哀相だと思う。
15歳という年齢は、国を背負って立つには若すぎた。いや、幼いといっても過言ではない。相応の能力があるとしても、本来は親に甘える年齢だった。
両親も一番上の姉も喪い、残されたもう1人の姉を教会に隔離して護った。その手配を行う間に、聡い子供は気付いてしまったのだ。甘えられる対象がいない現実に。
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