第一部(その二) クンド警団<紺>

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第一部(その二) クンド警団<紺>

 その日、ペルスとリオは、任務の遂行中であった。  今朝、住民から、隣の民家の庭から悪霊の喚き声のようなものが聞こえるとの通報があった。それを確かめ、悪霊を発見したなら抹消する。それが二人の任務だ。  二人は、「クンド警団」に所属していた。クンド警団とは、悪霊退治を専門とする政府公認の組織だ。十四年前に発足した。今では警察組織の一部として位置づけられている。  ペルスとリオは、二人とも悪霊に対する耐性がなかった。分類でいくと「B」に相当する。その対で、耐性のある人類は「A」と呼ばれていた。  Bの人間がクンド警団に入団するのは、至難の業である。十八歳で学業を修めてから、早くても三年はかかると言われていた。  ペルスとリオも、その例外ではなかった。  ペルスは、二十二歳の青年である。長身で、白い肌に瞳の色はブラウン。ダークブロンドの髪は緩くカールしていて、彼が歩くたびに耳の上でふわふわと揺れた。  リオは、二十一歳の娘だ。褐色の肌に瞳の色はブルー(これは、褐色人には珍しい色である)。まっすぐな長い黒髪を編み込んで結い上げ、肩にかからないようにしている。  
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