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リオは、自分の右大腿部に装着してある拳銃を抜き取った。門に取りつけられている錠前に向かって引き金を引く。
錠前は古いものだったのだろう、一回の射撃で粉々に砕け散った。ペルスが門を足で蹴破り、二人は中へと突入した。
民家の庭は、二人の想定よりも広かった。門をくぐっても、すぐには家とおぼしき建物が目に入ってこない。温室や、作業小屋のようなものが並んでいる。だが、どちらも今は人の手が入っていないことが明らかだった。
草が伸び放題に伸びた庭を、二人は走り続けた。唸り声は、遠くなったり近くなったりを繰り返しながら、地面を震わせ続けている。
やがて、家らしい建物が見えてきた。二人は、その前で足を止めた。
「ペルス・・・確か、ここの家って、まだ人が住んでるって話だったよね?」
「ああ」
ペルスは肯いた。家の壁はひび割れ、つたが這っている。だが、玄関前にはほとんど埃や土がなく、つい最近、掃除をされたのが見て取れる。つまり、古い家だが廃墟ではない。
「じゃ、じゃあ、悪霊の声がしたっていうのは・・・」
リオの喉元がごくりと鳴る。
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