86人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、紛れもなく人骨だった。ところどころ砕けたり、骨格としてはおかしな場所にあったり(骨盤が頭蓋骨のすぐ下にあるなど)はしているが、間違いない。
「ここは確か、両親と息子の三人家族だったよな。つまり、こういうことか?」
ルングとミティは、呆気にとられて相槌を打たなかった。それを待たず、シンは続けた。
「昨夜、息子が悪霊と化した。あの家の外壁からすると、二階の部屋でそうなったんだろう。で、ベランダから外に飛び出した。その息子を、父親が井戸まで誘導した。事故か、心中する覚悟があったのかは知らねえが、とにかく父親も息子ともども井戸の中に落下した。そこに母親が蓋をして・・・さらにブロックも積んだみてえだな。息子を井戸の中に閉じ込めた・・・いや」
シンは、指で鼻の頭をこすった。
「かくまった、って言うほうが現実に適うか」
横目で、木製の蓋をちらりと見た。ふんと鼻を鳴らす。
「あんなもん、悪霊がその気になりゃ、すぐに燃えちまうのにな」
シンは、ライトを消してベルトに戻した。まだぼうっとしているルングとミティに対し、声を張り上げる。
「帰るぞ。すぐに戻って報告だ!」
二人は、びくりと体を震わせた。それから、引き締まった表情になり
「は!」
と敬礼した。
最初のコメントを投稿しよう!