未熟な少年忍者と姫が出会った

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満月十郎は透破(すっぱ)としての初任務でいきなりしくじった。 さらうはずの姫に思いっきり顔を見られた上に撃退されてしまったのだ。 (まさか雪姫があれほどに強いとは。聞いてなかったぞ父上!) いっぽう雪姫は自分をさらおうとして失敗した忍者の弱さにあきれていた。 (あの男は十郎とか言ったな。女子に負けた上に名乗るなんて笑っちゃう) 「姫様? なにがそんなにおかしいのです? 楽しそうですね」 世話役の直実が尋ねると雪姫はさらに笑った。 「だってあいつ、子供なのに髪の毛が白かったから。あれじゃ目立つわ」 山小屋に潜んだ十郎は姫の手刀で切り裂かれた頭巾を丹念に繕っていた。 十郎は母親の仕込みで料理や裁縫が得意だった。透破としては異例である。 「この髪を見られたか? それなら姫を殺さねば。でも無理かな?」 姫は強く美しく、やっつけられた十郎は文字通り一撃で恋に落ちていた。
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