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私は変わりたかった。
新しい自分に。
高校デビュー。
地元の片田舎には、数えるほどしか高校がなかった。
中学時代からの知り合いがいる中で、派手なキャラ変はできない。
高校デビュー、失敗。
大学デビュー。
初めて話しかけた相手に、「どこの人?」と半笑いで言われて上手く言葉が続かない。
それでもなんとか友達と呼べる人ができたと思ってた矢先、
「マジあいつ芋っぽいよね~」
「友達面してついてくんなよって感じww」
っていうのをトイレで聞いてしまった。
それとなくフェードアウトするしかなかった。
大学デビュー、失敗。
社会人デビュー。
人と接する機会が多いであろう営業職に就いた。
100社以上も履歴書を送って、面接まで辿り着けたのは10社にも満たない。
そんな中でやっと内定がもらえた会社。骨を埋める覚悟だった。
研修が終わって任されたのは電話番だった。
同期は先輩について得意先回りをする中、コミュ障であることを面接官に見抜かれていた私は、電話対応である程度自然なコミュニケーションが身についてから業務を教える、と通達された。
新人らしく、とにかく明るく元気に!言われたのはそれだけ。
しかし。来る日も来る日も、かかってくるのはクレームの電話ばかりだった。
誰が担当で、誰のミスかも分からないクレームの電話に謝り続ける日々。
罵詈雑言を浴びせられ続け、結局は2ヶ月もたなかった。
社会人デビュー、失敗。
もうダメだ。どんなきっかけがあっても変われない。
私は追い詰められた。
こんな自分のままだからダメなんだ。
そして気づいた。
私を変えればいいんだ。
私の人生を。
私はマンションの屋上へと駆け上がった。
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