製菓会社は甘くない

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製菓会社は甘くない

今日はバレンタイン、社会人になって初めての2/14は何も起こらずに過ぎ去ろうとしていた。 なぜだ!? 中学、高校、大学と女子の義理チョコというお情けは貰えていたというのに! あの頃はカバンか机に僅かながらチョコの包みがあった。しかし現在、どこにもチョコの姿は見当たらない。 社会がここまで厳しいとは思わなかった。 製菓会社なのにチョコがひとつも貰えないとは! もうすぐ定時、俺も今やっている作業を終わらせにかかる。あ、事務のお姉様方!ココにチョコ貰えてないヤツ残ってますよー!余ったから食べちゃおって言葉聞こえましたけど、ここに頂いてないやついますよー! 視線で訴えるも届かない、定時で上がる方々が続々と動き出す、そして余っていたらしいチョコも去っていく。さようなら俺のバレンタイン。 地味に落ち込みながらも、もうすぐ帰れそうだとパソコンに向かう。 そこに女神の一声が。 「山田君、お疲れ様。ごめんね、ギリギリになっちゃったけどコレあげるわね。」 くるりと振り返れば我らが美人上司の相原さん。その手には何やらお菓子が入っていそうな紙袋。 え!俺にだけ!マジでいいんですか!
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