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それなのに、次の瞬間……。
崖から一気に突き落とされた。
「大吉くん、喜んでくれるかな?」
「……え?だ、大吉?……何で、ここで大吉?」
「これ、大吉くんでも食べられるクッキーなの。砂糖とかバター不使用で。調べて作ったの」
彼女が嬉しそうに答える。
大吉とは、うちの老犬だ。
散歩に行って時々会っては大吉をカワイイと言って頭を撫でていた瀬名。
「大吉!?って、え?あの、このクッキーって、俺にじゃなくって大吉?」
「うん。いつも頭撫でさせてもらってるから」
おいおい、そんな可愛くはにかみながら言うなよ。
実は俺のクッキーも隠し持っているんだろう?
その焦らしは作戦か?
なんて小悪魔なんだ、瀬名。
でも大丈夫。それも全て受け入れる。
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