2 鬼

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2 鬼

鬼、という漢字の成り立ちを新漢語林で引いてみると「グロテスクな頭部を持つ人の象形」と書いてあった。別の本には、大きな頭部を持った異民族の事を表す、と書いてあったような気がする。鬼の「田」とそのツノの部分が頭らしいのだ。 昨日は節分だった。追儺式。 鬼に、悪いものを投影している。病気や災害や日頃の憤懣。 そんなものとは無縁の生活を送っていきたい。 鬼とは無縁の生活を送っていきたい。 「異民族」とは無縁の生活を送っていきたい。 スクールカースト、というものがある。 カーストが違う者同士は、あまり分かり合えない。上部に位置するものは当然のように下部に位置する者を見下し、下部に位置する者も位置する者で上部に位置する者を見下している。 自分が所属するグループとは違うから。自分たちの共通感覚に無いものを持っているから。 だから話ができない。時に言語だって違う。口調や声の出し方は、グループ内で大体似通う。 だから対話もできない。意思疎通を図ることと、対話をすることは意味が違う。「今日の宿題の範囲を教えて」と「昨日のあの番組面白かったよね~」が違うように。     
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