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たった4~5分の間にどこか行くなんて
思わなかった。
あの3階のフロアをくまなく走り回って
飲食店の中も全部聞いて回ったのに。
あの、莉子まだ見付からないですか?」
「まだどこのテナントからも
ご連絡入ってきてませんから…」
「館内放送、もっと流してください。
係員さん。」
「定期的に流しますから、
落ち着いてくださいね。」
バタン
「すみません、迷子センターってここですか?」
「!」
「うちの子が人混みではぐれちゃって…
あの、ここって子供の特徴を言えば
館内放送とか流してもらえるんですか?」
(…なんだ、莉子が見付かった訳じゃないのね…)
「迷子のお知らせですね。流せますよ。
こちらのシートに記入お願いします。
おいくつくらいのお子さんですか?」
「5歳です。女の子です。穂花…
玉城穂花です。ええと、僕は穂花の父で
玉城祐也です。」
(莉子より大きな子じゃない)
「では、穂花ちゃんの館内放送も流しますので
お父さんはこちらに掛けてお待ちください。」
「穂花の館内放送もって?」
「そちらのお母さんも
お子さんとはぐれてしまったようで、
お子さんが見付かるのを待ってるんですよ。」
「…ああ、さっき流れてた『りこちゃん』か。
お互い苦労しますね。」
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