白紙

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ザワザワ 意味を伴わない周囲のざわめき。 長く深い眠りから目覚めたように、気怠さを伴って瞼を開ければ、視力からくる膨大な情報を脳が高速で処理し始める。 自分を取り巻き、見下ろす学生たち。 空とを隔てるように拡がった枝葉と、その奥の三階らしき窓から身を乗り出してこちらを眺める者たち。 脳の処理過程に重大な欠陥がある事は、すぐにわかった。 どうしようかと身体を起こせば、足先から頭部にかけて鈍痛が襲う。 自身のポケットを探り取り出したスマホは、バキバキに割れていて使えそうにない。 自分が動く度に起こるどよめきが、耳鳴りとなって脳内を侵す。 「誰か、」 自分の声は予想以上に掠れていた。胸に痛みもあったが、喋れない程ではない。呼吸もできているし。 だから続けて周囲の学生に声を掛けてみた。 「救急車を呼んでくれたか?」 反応は鈍い。誰かがやっているだろう精神だろう。 面倒なので、目に留まった女子生徒に向けて言う。 「そこの君、救急に連絡してくれる?」 「えっ?あ、はい」 彼女はあたふたと連絡し、しどろもどろに応える。
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