白紙

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◆ 「誠司君!心配したぞ!」 「私たちの事わかる?!」 「いっつも心配かけさせるんだから」 精密検査を終えて、自身にあてがわれた病室に戻ると中年の男女が4人、それぞれ言いたい放題言葉を投げつけてくる。 「俺の両親と、水嶋さんのご両親ですか?」 水嶋さんとは俺を見て泣き崩れた女子高生・水嶋爽香(サヤカ)だ。今も病室の隅で俺を不審気に見つめている。 さっき聞いた話では、家が隣同士で家族ぐるみの仲だったらしい。仕事で忙しい両親に代わって、大変お世話になっていたとか。 「元気そうじゃないか。じゃ、俺は研究に戻る」 一人だけ黙っていた男がそれだけ言って、病室から去ろうとし、他3人にしがみつかれる。 これが父だろう。自分の思考回路とこの人の雰囲気が近しいのを感じる。 「精密検査は終わったばかりで結果なんてすぐに出ないだろ。他が元気そうなら俺にできることはない」 「だからってね、状態変わって急遽死亡ってこともあるかもしれないのよ!」 「ちょっと、マナちゃん!その言い方は!」 父の発言を戒めるのは母だろう。自分に対する配慮のなさが潔い。 「これが最後の会話になったら、どうするの?」 「……それもそうだな」 帰りかけていた父が自分に向き直る。
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