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俺はその話を聞きながら、初めに差し出された宿題のプリントに書き込んでいく。
宿題は両面だったので、裏に返してまた書き込み初めれば、その動作が目に付いたのだろう、西垣美香が声を掛けてきた。
「あれ?ミヤって左利きだったっけ?」
「いや。左じゃなかったと思うけど」
金城健也がそう応えるが、自分は今左手でペンを持っている。
みんなに見つめられて、試しに右手にペンを持ち替えて書いてみた。
問題無く書けた事に、俺が一番驚く。
文字の綺麗さや書きやすさは断然左手だが、右手でも全く問題ない。むしろ右手で書いた方がたどたどしく、雑な男子高校生らしさが漂う。
「っていうか、この宿題、今日授業でやったところなんだけど……誠司、予習とかしてたのか?」
「……教科書、見せてくれるか?」
木村克樹の質問には答えず、教科書を要求する。
差し出された教科書を受け取ると、ザッと目を通した。
「……俺、本当にお前らと同級生なのか?」
この教科書の全てを知識として理解できている。
他の教科書も見せてもらったが、変わらない。
全部理解できる。
皆が引きつった表情を見せ、水嶋さんは俺を睨みつけてくる。
俺は、
俺は……
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