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それでも、月に1度か2度は都合を合わせてデートだってしていたし、平日に会うこともたまにあった。勿論、付き合い始めの頃の、寸暇を惜しんでって言う頻繁な会い方が出来なくなっていたのは確かだ。
それにしたって。
突然、だったと思う。
少なくとも、私にとってはそう。
予兆みたいなものとかも、私にはちっともわからなかった。
結婚、の二文字も。ちょっと意識してきたり、してたのにな。
一人きりの部屋、ベッドの上で、膝を抱えて溜め息を吐く。
傍らにあるスマートフォンの画面は、少し前に送られてきた、彼からのメッセージで止まっている。
『別れて欲しい』
そんな簡単なメッセージ一つで、あっけなく、私の恋は終わった。
否、恋と呼べるかどうかさえ分からない、曖昧なものだった。
あるいはただの惰性だったのかもしれない。
彼のことは、そんなに好きじゃなかった。でも決して、嫌いってわけでもなかったのだ。
自分が、ひどくショックを受けていることに、私は今、驚いている。
なんだか胸がすかすかして、どうすればいいのかわからない。
私が返した彼へのメッセージはたった一言。
『わかった』
それだけ。
就職して、一人暮らしを始めた時から、この部屋には私一人だけ。彼が何度か泊まったこともあるこの部屋に、今は私が一人だけ。
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