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********** ―――――公園の木の上で、雀がチュンチュン泣いている。 近くを見慣れた白い車が通り過ぎた。 向かいのオッサンの車だな、ありゃ。 俺は公園の入り口から元気よく駆け出して行った少女を見送って、しばらくその場に立ちすくんでいた。 「おにいさんもおしごとがんばってね!!! いじめる人にはちゃんとやだよって言ってね!!!」 振り返ってそう叫んだ少女は、そのまままっすぐに前を向いて走っていった。 ないないづくしのこの俺にも、ほんの少しだけの勇気を残して。 「さーーーーて。俺も行くかな!!!」 ベンチに置きっぱなしになっていた通勤カバンを手に取る。 そうして、ゆっくりと歩きだした。 カバンには暴言まみれの録音が入ったボイレコがあった。 サビ残まみれの勤怠記録が入れてあった。 ……胸にはずっと、持つことができなかった勇気があった。 俺が望まなかった「新しい朝」は、「新しい一歩」を踏み出す勇気をくれたんだ。 「―――――行くぜ、労基!!!」 <終>
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