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「……お前は学校に行きたくないんだろ? じゃあこのままじゃダメなのか?」 「ダメだよ!!!」 即答された。いきなり大声を出すからこっちがビビっちまった。 「なんでだよ。いじめっ子に会いたくねえんだろ?」 「会いたくないよ! ……でも、でも、いやな子ばっかじゃないんだもん。大好きな友だちがいるんだもん。さやちゃんやみうちゃんと遊びたいよ。お絵かきして遊びたい。あと、昨日のアニメの話もしたいんだもん……」 涙目で力説されるとこっちが悪いような気がしてくる。なんでだよ。 「お、お父さんやお母さんとしゃべれないのもいやなんだもん……わたし、ほんとは学校がきらいなわけじゃないんだ……ただこわい子がいただけで……朝が来ないようになんてお願いするんじゃなかった……ちゃんと、その子たちのことがこわいからって先生やお母さんたちに話せばよかった……」 「……そっか」 偉いなあ。 この子はちゃんと、自分の現実と向き合ってるんだな。 それに比べて、俺ときたら――――― 「ねえおにいさん、どうしたらいいと思う? どうしたらみんなはまた動いてくれるのかなぁ。もう明るいから、お星さまは見えないよ……」 「流れ星か……そうだなぁ。流れ星はもう見えねえなぁ」
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