日常の幸せ。

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日常の幸せ。

朝から夕方まで仕事をする。 俺の仕事はルーチンワークだから変化はあまりない。 でも相方は違う。 「今日はどうする?」 「……んーぅ……うーん。今日はスープ。ごろごろ野菜とウインナーのスープ」 ひたすらに筆を動かす左手。 一心不乱に描きとめているのだろう。 「OK」 今日はきっと描き終わるまで起きているだろう相方のために寸胴いっぱいのスープとパンを焼く。食事をとるのを忘れて描く姿もすきだ。 ーーー ベッドが軋む。 描き終わったんだな。とあっためた上掛けをあげれば猫のように入ってくる。 「おやすみ」 「ぉやすみ」 寝ぼけた声とシャワーを浴びても消えない匂いを吸い込んで眠りの波に身を投げた。 そんな日常。 描き終わり、睡眠を充分とったあとは欲望のままだ。 ガブリと首筋を噛まれてキスをする。 「どっちがいい」 「上」 それだけで会話は終了。 あとはベッドのなかでむさぼりあう。 時折、二人ともが同じ役をやりたくなる。 そんな時は「じゃんけん」勝負と決まっている。 「「じゃーんけーん、ぽい」」 じゃんけんで勝ったら先にその役ができる。 2ラウンドめには入れ替わるのが常だ。 「おっしゃ、勝った!」 先にタチをする。それだけ。 でも、お互いにお互いを大切にする時間でもある。 「次は俺ね」 そんな日常。
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