5人が本棚に入れています
本棚に追加
青いってどんな色?
海の色?
空の色?
皆は、それらを見て綺麗だと言うけど私にそれはわからない。私は、先天性の重度の色覚異常という目の病気を患っている。見ている青色が全て深緑のようなくすんだ色に見えてしまう、そんな病気だ。だから私には青色という物が、本当はどんな色をしているのかわからない。それでも青色がどんな色か知りたくてネットで調べてみた事がある。その結果、海や空のイメージから壮大や広大などのイメージを与える色らしい。
とても参考にならなかった。
やっぱり私に青色を理解するのは、難しいのか?
宮崎由美は、鼻と口の間に鉛筆を挟み短い髪を右手で、くるくると絡めながら教室の窓から見えるくすんだ緑の海を見ていた。
『キーンコーンカーンコーン』
教室のチャイムが鳴り授業が終ると生徒は一斉に席を立ち上がった。私も3つ後ろの席に座っている親友で学校中の男子の憧れの青士稔の元に向かった。
「よッ。みのちゃん。今日も可愛いねッ」
狡猾な笑みを浮かべながら近づく由美に稔は、なにも言わずにノートを差し出した。
「たく。あんたは、また授業聞いてなかったんでしょ」
「ごめーん」
舌を出しながら自分の頭をグーで小突いた。
「てか、さっきの先生の授業中の顔ちょーおも白くて、ちっとも授……「ほらぁ!こっちパス」
男子の声が私の声を遮るように近い付いてくる。
最初のコメントを投稿しよう!