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「相変わらずお熱いねぇー。」
私は、更に頬を紅潮させ声を裏返しながらも叫んだ。
「はッ?な、何いってんの?あんな年中海で遊んでるような子供みたいなバカ……キモいしやめて」
「あれれ?何必死になってんのー?冗談よ。じょーだん」
由美は、床に足を叩きつけ最大限の怒りを表した。
と、表では隠しているけど稔の言っている事はあながち間違っていない。
私と拓也は、幼馴染み。四歳の頃から良く一緒に海に行って遊んだりしていた。そんな私が彼に惹かれるようになったのは、小学四年生の時に同じクラスの男子に虐められてるのを庇って助けてくれた時からだ。私はその時からずっと好きなんだと思う。優しく、背も高くてルックスも悪くない。そんな男子、他の女子がほっとく訳も無く、よく校舎裏で告白されているのを見かける。そんな時いつも、ふるだなんて心の中で願っちゃうそんな性悪な私が相手される訳もない。だから幼馴染みは、結局幼馴染み止まりなのだ。それにもし告白でもしてフラれて今の関係が壊れるくらいなら今のままでいい。
そう。
今のままで…………
「ねぇ!」
私は、俯いていた顔を上げ稔を見た。
「次体育の授業だよね。由美準備行かなくていいの?」
「あぁぁぁッ」
飛び跳ねるように立ち上がると勢い余って後ろの席の机を倒してしまった。
「あぁーあ。本当にあんたは……」
稔はまたかと言わんばかりにかぶりを振ると、倒れた机を直し床に散らばった教科書を拾い始めた。私も直ぐに拾おうと手を伸ばすと稔は、手の甲を翳し立てに振った。
「シッシッ。早く行った行った。遅れたら拓也に嫌み言われるよ」
「うぅ……ごめん。あとノートありがと。今度ジュース奢るから」
由美は、顔の前に手を立ててウインクすると借りたノートを自分の机にしまい慌てて教室を出ていった。
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