Case4 思春期の子供達に悩む主婦43歳

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『でもやはり最初の目的はそれなりに話すべきです! もう時間ですし、これは次回お話ししましょう』 「そうね」 『貴重なご意見ありがとうございました』 「ごめんなさいね、こちらこそ偉そうに」 『いえ、それでは』 通話終え、ヘッドフォンを置く。 夕飯を買いに行くまでまだ時間はある。 私はついでに本屋に寄ってみようと思った。 夜、早速一冊だけ買ってきた参考書を開く。 さすがに基礎の基礎は変わらないのだなとパラパラ呼んでいて思いはしたが、驚くほどに思い切り忘れている。 もう40歳を軽くを越えている。 こんな歳からあの時ですら四苦八苦していたものを覚えられるものだろうか。 足音がしてそちらを見れば、息子が飲み物を持って不審そうにこちらを見ている。 また変なことでも聞かれると思って何も聞かないのだろう。 私は苦笑いを浮かべた。 「ゲームも良いけど、睡眠は少しでも取れるようにある程度で寝なさいよ」 その言葉を聞いて、息子は目を丸くした。 「何ソレ、気持ち悪りぃ」 「なによ、気持ち悪いって」 「ゲームは良いってなんだよ、そんなこと言ったことないじゃん」 「そうだっけ?」 「そうだよ。何で急にそんなこと言うんだよ?」 「何でって」 不審そうな目で聞いてくる。 考えて見れば、息子がこんなに話しかけてくるのも珍しい気がする。 「あんた、ゲーム好きなんでしょ?」 「そう、だけど・・・・・・」 「じゃぁ仕方ないじゃない。でも高校生なんだし、それをコントロールするくらいの努力は出来るでしょ? ゲームで努力出来るんだし」 「ゲームの努力と一緒にすんなよ」 「なんかダサいわね、それ」 私の返答に思い切り顔をしかめると、ぷい、と部屋に戻ってしまった。 そうやら何かまた息子の機嫌を損ねることを言ってしまったようだ。 私はそれがわからずため息をついた。 そして目の前の何も書き込まれていない、新しい紙独特の香りがする参考書を見る。 分厚いのにこれでまだ1冊目。 こんなものを家のことをしながらやれるだろうか。 第一やりなおして、仕事なんてあるんだろうか。
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