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そして初めて話す時が来た。
パソコンを使って会話するのは仕事でもしていたので、特に問題なく出来た。
しかし未だに怪しげなものじゃないかと思いつつも、とうとうスタートした。
『初めまして』
「初めまして」
落ち着いている相手の声に少しホッとする。
『まずはこちらの簡単な自己紹介をしても良いですか?』
「はい、お願いします」
私はどんな人なのかとドキドキしてしまう。
『名前はタクヤです。年齢は30代半ばというところで、オーダーにもありましたが、いわゆるインターネットで知り合った相手と結婚しました』
「えっほんとに?!」
『あはは、マジです』
私の素の驚きに、タクヤさんが笑っている。
いや、でも本当だろうか。
こんなこと、言っちゃ悪いけど証明しようがない。
『記入欄には、ネット使って婚活中、結果は全然ダメ、で、自分は美人の部類と書かれてたけど』
「いや、最後はそんな書き方してないですって」
『あー、ごめん、堅苦しいの苦手で、しゃべり方砕けて良い?』
「どうぞどうぞ、じゃぁ私もそうする」
『助かる。
いや、多分というか美人でしょ、君。
なんか同じ感じの臭いがする』
「なにそれ」
急な言葉に私は不審げな声を出す。
『いや実は自慢とかじゃなくて、昔から俺、もてるんだよね。
読者モデルとかしてたし』
「へぇ、それなのにネットで知り合った人と結婚するわけ?」
『それこそ君の悩みなんじゃないの?』
ずばりと言われた言葉に、思わず言葉を失った。
そう、そんなにもてるんならなんでネットなんかでと思ったのだ。
まさに今私がそれで悩んでいるというのに、結局私も他の人と同じ感覚だった。
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