Case1 家族を亡くした21歳

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「ただいまぁ」 古い一軒家。 玄関ドアを開けると、冷たい空気が家の中から外に出て行くような気がした。 電気をつけ軋む廊下を歩き、暖房を入れた。 上着をハンガーにかけ、まずはパソコンの電源を入れ、あるサイトを開き、ログインボタンを押した。 それを終え、隣の部屋に行く。 「お母さん、お姉ちゃん、ただいま」 そういって仏壇に手を合わせた。 あまり広くはないが、この古い一軒家に住んでいるのは私だけ。 父は、私の小さい頃離婚して今は一体どこで何をしているのか私は知らない。 姉は・・・・・・夫だった人に殺された。 『優しい人なの』 そういってある男性と交際しているのだと話しをしてきた姉は、母と私にその相手を会わせることなく家を出て、しばらくして結婚したと突然連絡があった。 旦那さんを紹介してと私が言っても、彼は気むずかしい人だからと断られた。 母も私も不安になっていた。 姉の態度がどんどん変わっていったからだ。
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