4人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
思いなどというものは、それがどんな種類であろうと俺の一部であり、善悪の対象ではない。自分の台詞が、今、正しく自分に返ってきた。
ようやく、言葉が心に触れた気がした。
俺は、死ぬまで生きるだろう。あの方への思いと共に。
それが全てだ。
そして、それだけのことなのだ。
俺が苦しもうが悲しもうが楽しもうが、そこに大した違いはない。あの方が俺の隣にあった当時から、それは同じだった。
俺が俺であろうとしてもしなくても、俺は俺でしかなかった。
あの方を思うのも、それを後悔するのも俺以外にありえず、何をどう否定しようと、否定そのものが俺自身となるだけの話なのだ。
この一年、俺が俺でなかったことなど一時たりともない。俺は、俺でしかあり得なかった。
俺は、今ようやく、改めてまた歩き出した。
第三章、終わり
最初のコメントを投稿しよう!