第2章 親友

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「おーい! ヤスそんなんじゃ俺のタイム追い越せないらー!」こんな感じでいつも煽ってくるのが速水勇治(ハヤミユウジ)同じクラスに静岡から来た転校生で何故か馬が合い一緒に短距離を選び競い合う仲だ。 ユウジとは中学1年生の時に、県大会の400mリレーで3年生と共にレギュラーに抜擢されベスト4に入った。 これは僕にとっても凄く自信に繋がる結果となった。 1年経ち、中学2年生の6月、体育祭では学年別のクラス対抗リレーで僕とユウジがいる我がクラスは2年生の中では群を抜いて速く、ぶっちぎりの優勝で、僕等が他の走者を追い抜く様はクラスメイトから喝采を浴びた。 体育祭も終わり、季節は夏を迎え、太陽がアスファルトに高熱を宿し、セミの鳴き声も聴こえる七月の後半。 放課後の部活で今年も夏の合宿の日程が発表された。 伊豆の海岸や山道などを使って行われる、とっても辛い事で有名な陸上部の夏休みの合宿。 中日で一日だけ体を休める日があるものの、それ以外はひたすらに走って走って走り抜く、地獄…… 今年は8月1日から7日までの1週間。 もちろん僕とユウジは昨年、経験してその恐ろしさを思い知っている…… 「今年もこの時期らー。海岸での連続ダッシュは泣きそうだら」 ユウジが気怠そうに言った。 ユウジが怠そうに落胆している時、僕はふとユウジが転校して来てまもない頃の会話を思い出していた。 「勝呂くんの名字って実は伊豆のばあちゃんと同じだから気になるらー」 「でも無い名字じゃ無いでしょー! そんなことより僕は速水くんの方言の方が気になるよ。らーとかだらーとかさ」 そんな些細な会話から仲良くなり、今では名前で呼び合う仲だが、去年ははじめての合宿への恐怖で合宿地が伊豆だと聞いても何にも感じなかったが改めてユウジに質問した。
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