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「間宮くん、記録して」
「はいはーい。どれぐらいの数値かなあ。いくらマルチなアスリートさんでも、パワーでは男に敵わないでしょ……」
握力計の数値を見て、彼は絶句した。
「えっ、ろ、60.02kg……って……!?」
左も測り、同じく男子並みの数値を叩き出す私に、間宮さんは呆然とする。
「末次さんは長い間、格闘技の稽古をされてきました。そして現在もトレーニングを積み、鍛錬を怠りません。前腕部を形成する筋肉群が発達しているため、これほどのパワーが出るのです」
尾崎さんの説明に、間宮くんは一応頷くが、
「……にしても、力ありすぎですよ。ちなみに、ベンチプレスはどれくらい?」
「調子が良ければ80ぐらいかな」
「うそお!」
彼は大げさに驚き、後ずさりした。化け物でも見るような顔をしている。
「ちょっと、間宮くん。驚きすぎだよ」
尾崎さんは私に気遣うが、彼はお構いなしに怯えてみせる。
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