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《ガーディアンズ ゼロ:別天地》
《ガーディアンズ ゼロ:別天地》
水品 正生
第一章 序章
それは巨大なベッドの上に横たわっていた。
体は通常の人間の百倍はあろうかと思われるほどの、巨人族の末裔であった。
「あと十七分……」
それは、これもまた巨大な口から発せられたが、か細い声である。
ベッドの周りにいた人々は、ロープを肩にかけ、表に出すべく、力の限りに引きずっていた。
「民衆はすでに祭壇の前に集まっております。ご心配なく」
枕元にいた神官は、巨人に向かって話かける。
祭壇の脇からベッドが出てくる。それは目的の場所まであと三メートルというところで一旦停止した。
「何をしておる。時間がないのだぞ」
神官はロープを引いていた人々に呼び掛ける。
再びベッドは動き出した。
三分で目的の場所、祭壇の中央まで移動したところで停止する。
「ヒロム・ムディアナ・レヴィルよ……」
巨人のか細い声が聞こえた。
民衆十二万人の先頭にいた若い男が一人、一歩踏み出して言った。
「控えております」
「ナナセ・ムディアナ・コウリはどうした?」
「ここに」
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